地域を支える生産者

2025年11月 繁殖・肥育農家

 

牛とともに循環型農業を目指して

繁殖・肥育農家
片野 真一郎さん(61歳)
   耕作さん(27歳)

プロフィール

出身は神奈川県。妻の加奈子さんと息子の耕作さんとともに牛を飼育。35頭ほどを飼育し、子牛を年間13頭ほど出荷しているほか、年間3頭は経産牛を肥育して出荷している。津市の無形文化財にも指定されている丹生俣(ルビ:にゅうのまた)大神楽の一員で、年に1回披露するのが楽しみ。

農業がやりたくて移住

 大学在学中に農業がしたいと思い立ち、耕作できる場所を探して23歳の頃に単身移住。借りた農地を開墾するところから始めました。当初は野菜を栽培していましたが、獣害がひどく、収穫できなくなってきたので、1990年から牛を1頭飼って繁殖させて出荷するようになりました。始めはバイトをし、お金が貯まったら牛を新しく買う、というように徐々に増やしていきました。
 当初は知り合いもいない中からのスタートでしたが、地元の皆さんにお世話になり、家族にも支えてもらいながらここまで来ることができ、感謝の気持ちでいっぱいです。

牛に最適な環境での飼育

 牛舎は木々に囲まれているので、夏でも涼しいです。母牛たちは毎日運動場に放牧し、のびのびと過ごさせます。母牛が汚れていると乳を飲む子牛が体調を崩す可能性があるので、牛舎は1日2回掃除し、清潔さを保っています。出産の際には、母牛の様子を見て待機して手伝います。大変な時もありますが、無事に生まれるとホッとします。これまで約400頭の出産に立ち会いましたが、毎回感動しますね。
 1996年からは一産どり肥育(※)も始めました。試しに肥育した牛を、初めて自分で食べたとき、あまりの美味しさに衝撃を受け、以来挑戦しています。頭数が少ないので元々取引のある人にしか販売できませんが「美味しかった」などの声が直に聴けるのが嬉しいです。
 ※一産どり肥育…出産を1度経験した牛を肥育すること。

牛のためにできることを

 うちでは牛を健康的に育てることを第一に、エサの配合も色々研究しています。牧草は有機肥料・無農薬で育てているのですが、牛が「美味しい」と唸りながら食べてくれる姿を見るととても嬉しいです。私たちは牛の命の上に生活が成り立っているので、牛のためにできることを丁寧にやりたいと思っています。牛が好きなので、日常がとても楽しく、自分の体調が悪くても牛舎に行くと元気になります。これからも牛と一緒に成長していきたいです。

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